僕は去年からWebデザインについて教える機会が何度かありましたが、その中でもなかなか成長することのできない人には、あるひとつの共通点がありました。
「デザイン云々の前に、パソコンの操作が遅すぎる」
これは、実際のところ実に致命的です。
この問題を解決できないでいると、「作業が遅いから、単価も上がらないし、時間もできない」という負の無限ループにのめり込んでしまいます。
例えば、デザインでビジネスをしていくというのにも関わらず、時代遅れのスペックのパソコンを使っていたり、信じられないくらい遅いネット回線を使っていたり、ショートカットキーを全く使わずにマウスだけで操作しようとする人がいます。
基本的に、デザインというのは、無限に時間があれば、無限にいいものが作れます。
つまり、1万年時間があれば、その1万年分の時間をかけた、物凄いものが出来上がるのです。
でも、現実としてデザイナーにはそんなに多くの時間は残されていません。締め切りまでに、自分の現時点で抱えているリソースの中での最大公約数をいかにアウトプットできるかが、勝負の分かれ目です。
はっきり言ってしまえば、いくらでも時間があれば、誰でもいいものは作れるのです。
だからこそ、Webデザイナーにとって、たとえ同じ行程を踏む作業だとしても、他のデザイナーといかに作業効率を差別化していくのかが、より多くの仕事を獲得する上で重要になってきます。
10分間の作業を、1分で終わらせることができれば、単純に考えて10倍の時間を生み出すことができるのです。これが毎日続くと、どれだけの差が生まれるのか、容易にイメージできるでしょう。
僕もスタートアップの時点ではそうでしたが、作業効率を上げようとして駆け出しのデザイナーがまず陥るのは、「とにかく作業時間を増やそう」ということです。
たとえば、朝7時から夜24時まで、机でカップラーメンを食べながら張り付いて作業しよう。そうすれば、きっと作業量が増えて、効率も上がるはずだ。という考え方です。
ただ、これは瞬発力はありますが、持続力を生みません。なぜなら、時間をかければいくらでも仕事をこなせるという発想は、とにかく走り回ればゴールが奪えるという発想と同じように、戦略性に欠け、肝心なときに追い込みをかけれない場合があります。最後の仕上げに辿り着いた瞬間に、疲労が襲ってきます。
デザインは究極的にはものづくりなので、きちんと体力的にも精神的にも安定していなければ、細かい部分はどんどん雑になっていきますし、無理矢理でもいいから仕事に区切りをつけたくなってきます。残念ながら、そういう仕事の仕方を続けているうちは、いつまでも素人レベルから抜け出すことができません。
「今この1時間かかった作業を、10分でやるにはどうすればいいんだろう?」
そういう意識を持つことが、プロとしての第1歩であると僕は考えています。それを突き詰めれば、もっとできることは増えるし、関わる時間も増えてくるのです。
具体的に、どうやって効率を上げていくか?
では、具体的に「作業効率」を上げるにはどうすればいいのでしょうか?
実際、僕のパソコンは色々なカスタマイズを施しています。
Macのアプリケーションの基本的な設定から、Adobe関連のツールも、Webデザインに特化した設定にしています。今回はその中から、どくにデザイン以前の部分、パソコン設定の部分で僕がどのような工夫をしているのかを少しだけ紹介します。Macユーザーに限定した情報となっていますが、一部windowsでも使えるツールがあるので参考にしてみてください。
1.Macに効率を上げるアプリケーションを入れる。
ブラウザ操作やコピペのための2つの必須アプリは
・Better Touch Tool http://www.macupdate.com/app/mac/32953/bettertouchtool/
・Pop clip https://itunes.apple.com/jp/app/popclip/id445189367?mt=12
これらは実に有名なアプリですが、これがあるだけでデザインの作業は10倍早くなります。それぞれどういう機能があるのかは、たくさんの情報ブロガーが書いていますので、ググって調べてみてください。
2.Finderでの作業効率を上げる。
デザインの作業の半分は、「ファイルの保存」といかに向き合うかで、効率が決まってきます。きちんと体系的にファイルを保存できていれば、その後のコーディングも非常に楽になります。
今すぐできるのは、Finderの設定をオリジナルカスタマイズすることです。
僕の場合は、まず最初に開くと必ず仕事に関するフォルダが開かれる設定にしたり、上部メニューに「新規フォルダ」などのショートカットボタンを配置したり、右にプレビュー、下にファイルの現在地が表示されるようになっています。
ものすごい細かなことかもしれませんが、こういうちょっとした目線やマウスの動かし方が、後々じわじわと効いてきます。
3.定期的に気分転換をするためのアプリを入れる。
毎日同じパソコンに向かっていると、飽きませんか?少なくとも、僕は飽きます。
また、常にひらめきや発想力が問われるデザイナーという職業をやり続けるのであれば、定期的に壁紙を変えたり、Googleのテーマを変えたりしていきましょう。パソコンが昨日とは違う見え方になると、それだけで不思議と創作意欲が湧いてくるものです。
これは日々がマンネリ化しないような小さなテクニックですが、こういった日常の細かな部分から、アッと驚く発想は生まれるものです。ぜひ参考にしてみてください。
ちなみに、最近見つけたおすすめのアプリは、「Live wallpaper」です。美しい背景と、自動的に挿入される時計が素敵です。
おわりに
まだまだデザイン作業を最適化するための取り組みはあるのですが、今回は最も基本的なことを書きました。この3つだけでも少しだけ仕事の流れに新しい風が吹くはずです。
フリーランスで生きていくのであれば、まず自分の稼ぎ頭であるパソコンを、自分の身体の一部にしていかなければいけません。でも、残念ながら、あまり結果を出すことができない人に限って、この意識が足りていないのが厳しい現実だと伝えておきます。
(執筆者:片岡亮太)
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